書評

今ある本を書き出そう(文庫+ハードカバー)

備忘録も兼ねて。僕は日本人の作家のものしか読まないんだけど海外の作家のやつはどうなんだろ?海外のやつは何か難しそうで手が出ない。てゆうか読まず嫌いなだけだから面白かったら嵌りそうだけど。とりあえず長いから隠す、作家ごと。

「亡国のイージス」

在日米軍基地で起きた未曾有の惨事。その元凶とも言える「あれ」の国家間の策謀に様々な人の思惑を抱えてミニ・イージスシステム護衛艦「いそかぜ」は思いもよらぬ暴走に導かれてしまう。長編海洋冒険小説。ホントに長編。登場人物それぞれの正義のため、ア…

「四日間の奇蹟」

「第一回このミステリーがすごい!」大賞、大賞金賞、受賞作品。留学先のウイーンで指を失い、自らの生き甲斐であったピアノを失ってしまった敬輔は、その事件で肉親を失った脳に障害を持つ少女・千織と一緒に暮らすようになった。千織は音楽の才能を有して…

「反乱のボヤージュ」

首都大学の中央に立つ「弦巻寮」を舞台に、大学側と寮生の間で存続のせめぎ合いを行う中、舎監がやってきた。この舎監・名倉は古ぼけた寮則を持ち出し、寮生達を縛っていく。しかし、次々と彼らの周りで起きる問題の中で寮生と名倉の信頼関係は高まっていく…

パークライフ

第127回芥川賞受賞作。表題作「パークライフ」は、地下鉄の中でふと口をついた一言に反応してくれた女性と東京のど真ん中・日比谷公園の偶然再開し、微妙な関係を築いていく恋愛(?)小説。そして「Flower」は不思議な夫婦が東京に上京してきて、そこでまた…

「4TEEN」

中2という非常にナイーブで微妙な年代の中で、ウェルナー症候群のナオト、聡明でジュン、肥満なダイ、そして平均的なテツローという、4人の男の子達が様々な悩みながらも一つ一つ正面から当たっていく純心な青春小説。もしこの小説を単語で表していくとし…

「悪魔のパス 天使のゴール」

セリエAに移籍した夜羽冬次。大きな可能性を持ちながらもチーム状況に憂慮しながらシーズンを戦っていた。しかしその裏では大きな黒い闇が彼に迫っていた。身を案じた友人のライターはその闇を解き明かそうと様々な土地に散らばったそのヒントを掴みに動き回…

「深紅」

小学生の奏子は修学旅行中。そんなときに家族には非情な出来事が降りかかっていた。一家惨殺事件により癒しがたい傷を奏子は、事件の真相が少しずつほどける中で加害者にも同じ年の年代が娘がいたことを知り、正体を隠して会ったことでまた少しずつ何かが動…

「破線のマリス」

首都テレビの敏腕編集マン遠藤瑶子はニュース番組の肝となっていた「事件検証」を彼女の虚実を生むモンタージュを駆使して刺激的な映像を作り出し、番組を支えていた。そんな中で郵政省の内部告発を記録したビデオが瑶子に持ち込まれ、彼女の編集マンとして…

「凍える牙」

個人的に大好きな作品。乃南アサの作品をこの後むさぼるように読むきっかけとなりました。 僕はこういう犯罪ミステリーとかは結構ノリで読むから、文章の中に潜むリズム感というのが、大事になるような気がするんだけど、いきなりのショッキングなスタートか…

「パラダイス・サーティー」

29歳という女性にとって、そんなにデッドラインなのかなぁと思ったりもするけど、その中で良い事があったり悪い事があったりして30歳という節目の時間に向かって進んでいく話。お局扱いされるOL栗子とおなべのバーのマスター菜摘の揺れ動く女心を描写し…

「鎖」

「凍える牙」の続編、大活躍の音道に大きな危機が訪れてしまう。腐ったヤツと組まされて仲違いした事で一気に彼女に危機が訪れて・・・・・・。ネタバレしないでサスペンスを紹介するのは難しいなぁ。「凍える牙」はどんどんスピード感を増していって進んで…

「龍時03-04」

ベティスでの2シーズンの邂逅を交えながら、アテネ五輪代表に招集され、ナショナルチームの誇りの戦いに身を投じる志野リュウジ。試合を戦いながら五輪代表監督平義との確執の中で、監督の考え・狙い・そして彼の意志を感じながら戦いを進めていく。相変わ…

「龍時02-03」

スペインに渡り、色々な苦しみを通しながら、最終節で衝撃のデビューを飾った志野リュウジは、02-03シーズンアンダルシアに渡り、レアル・ベティスにレンタルされ、改めてリーガのスタートを切る事になった。その中でまた激しい戦いに身を投じながら、彼の生…

「龍時01-02」

Number-Plusのワールドカップ特集の中で連載されていた小説「龍時」の加筆版。無名の高校生、志野リュウジはU17日本選抜で同じ年代のスペイン代表と対戦する。しかしあまりに素晴らしい個人技を持ちながら、日本の組織の中でもがいている間にスペインの迫力…

「エイジ」

現代病とも言える「少年犯罪」それを起こしたのはクラスメイトだった・・・・・。彼らは自らの個々の悩みや性格からこの犯罪を犯してしまった少年と向き合う事になる。一人はその優しさや思いやりから「被害者側の気持ち」を考え、一人はクールで冷静に分析…

「ビタミンF」

重松清の「イジメ」「微妙な年代」「離婚」みたいな難しいコンテンツを抱える親に視点を置いた家族小説。ただその中に解決への道を辿る時にある家族愛というものを描く。心がほわっとする短編集。こういうのを書かせるとやっぱりうますぎ。僕は誰かの親では…

「波の上の魔術師」

多分一番好きな作家。石田衣良。そんな彼の経済クライムサスペンス。ドラマ「ビッグマネー」になったらしい。この画像はハードカバー。独特のクールな切り口とクールな若い目線で進んでいく株を題材にした小説。腐ったパチプロ生活を続けていた白戸則道は、…

「うつくしい子ども」

あの酒鬼薔薇事件を題材に、加害者(弟)の兄の視点を中心に描かれたミステリー。緑豊かなニュータウンを恐怖のそこに陥れた小学生の女の子の殺人事件。犯人は弟だった。そのことで家族はバラバラになり、家を失い、学校でも嫌がらせを受けながら、兄は動き…

「骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ」

石田衣良の人気シリーズ第3作。今回のテーマはかなり掘り下げられたテーマ。「音楽への情熱の方向とホームレス」「弱者と権益の絡み」「NGOと地域通貨」「ドラッグとレイブとマイノリティ」と言うかなり濃くてまた取っつきにくいテーマとなりました。それを…

「少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ」

石田衣良の人気シリーズの第2作。今回は「LD(Learning Disability)」「ネットのぞき部屋」「大人のパーティ」など時代背景に沿った現代病を、主人公である果物屋手伝い兼ストリートファッション誌コラムニスト兼トラブルシューターのマコトが個性溢れる仲…

「池袋ウエストゲートパーク」

石田衣良の出世作、そして代表作であり、ドラマ「IWGP」の原作になった。基本的には短編集だけど、マコトがで活き活きと動き回りながら、仲間と共に池袋のストリートで怪事件をクールに解決していく。やっぱり爽快感を含めて素敵に動き回る事で浮き出る現在…

「赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝」

石田衣良のヒットシリーズ「池袋ウエストゲートパーク」の外伝。外伝と言うだけにマコトは登場しないし、マコトの目線とマコトの口調での物語が進んでいく訳ではない。今回は映像ディレクターでギャンブル好きの小峰渉が自らの愚かさから借金を抱え、池袋の…

「娼年」

村上春樹の主人公っぽいどこかうつろでけだるい主人公のリョウが、彼にとっての魅惑の仕事「娼婦」に出会い、様々な女性の魅力を通して欲望の奥深さに見せられながら過ごした1つの季節を描いた恋愛(?)小説。個人的に石田衣良作品の中で一番好きかも。何…

「空中ブランコ」

伊良部総合病院精神科で様々な患者の病状に対して子供のようにわがままで注射フェチで黄緑のカエルのようなポルシェに乗るトンデモ精神科医伊良部が常識を覆す行動で彼らを治していく爆笑小説シリーズ。今回は前作「イン・ザ・プール」の時よりも病気の内容…

「イン・ザ・プール」

常識を覆すとんでもない神経医学博士・伊良部が伊良部総合病院を訪れる患者との治療の中で色々と奔放に行動する話。伊良部は御曹司で黄緑のカエルみたいのポルシェに乗りながら注射フェチの気持ち悪い神経科医で、その奔放な行動力はまるで子供のような欲望…

一瞬の光

キャリアも外見も恋人もいて、何も不自由のない主人公・橋田浩介は、ふとしたきっかけで一人の短大生・香折と出逢う。会社内での派閥闘争などで疲弊していく中、徐々に香折とのふれあいの中で、疑問視していた自分の存在意義の中で欠落していた本当の人間と…

「不自由な心」

自分のキャリアを築きながらもふとした瞬間に、一人の人間として人を愛し、何のために生きていくのかを見つけ、そして選択していく(こんな言葉ないだろうけど)ヒューマンドラマ短編集。個人的に名作だと思う「一瞬の光」を割ったような感じですが、話の流…

GO

在日朝鮮人でケンカ23戦無敗の高校生、杉原が一人の少女との恋愛を通して、自らの国籍問題や差別に向き合いながら成長していく青春恋愛小説。非常にナイーブな「在日朝鮮人・韓国人」の問題を杉原という内側からの目線を通して描いた事で何かわかりやすかっ…

最後の息子

僕が吉田修一が大好きになったきっかけの一冊。「閻魔ちゃん」という新宿でバーのママをしているオカマと同棲しながら、きままで気楽な生活をしていた主人公。そんな中、飲み仲間「大統領」の死をきっかけに、ビデオ映像を通して生活の邂逅をしていくひりひ…