「4TEEN」

4TEEN中2という非常にナイーブで微妙な年代の中で、ウェルナー症候群のナオト、聡明でジュン、肥満なダイ、そして平均的なテツローという、4人の男の子達が様々な悩みながらも一つ一つ正面から当たっていく純心な青春小説。

もしこの小説を単語で表していくとしたら「現代的」「人造都市」「大人」「子供」「酷」「現実」そして「優しさ」。本当に現代的な悩みを彼らの視点から見ることで非常に絡まった問題も、実は優しさや思いやりと言った人間と人間が絡んでいく中で一番重要な要素をもっと重要な所に置いておけば、ここまで複雑な世界にはなっていないのではないかと思うぐらい優しさを感じました。

優しさ、それこそこの作品のテーマだと思います。彼らなりに色々と個々が大きな悩みを抱え、それを考えることにはやはり子供っぽいと言うか甘さを感じたりもするのですが、彼らには信念があって、純粋な気持ちがあって、相手の立場になって思いやりをもって考える事があるからこそ、この作品には非常に優しさが詰まっているのかなぁと。そして爽やかな読了感ってこういう事を言うんだなぁと思いました。

石田衣良らしく現代的な大きな問題(援助交際、家出、拒食症、家庭内暴力、若年化の性的衝動など)という話題に対しても彼らの視点で個々が真剣に悩み、そして行動することに暖かみを感じました。4人の少年達の特徴が現れていて非常にその辺も面白いのですが、その時に非常に考えること、もちろん現代っ子らしい外側が非常にクールな部分に覆われているのですが、その中の熱い部分があることが現代的なのかも知れません。

石田衣良の人と場所などの設定もこの作品の決まったところかなぁとこっそり思っています。そして今だからこその作品なのかなぁと。そして伝えたいことがここまで素直に伝わるのは、暑苦しく恩着せがましくない。でも大事なところはきっちりと押さえているからかなぁと。細かい気遣いが様々なところにちりばめられていて登場人物・設定・メッセージの伝え方・文章テクニックなど全てが揃ったからこそ、ここまで素敵な作品になっているのかなぁと。14の時に読んでみたかった。

石田衣良「4TEEN」新潮社 ¥1400