パークライフ
第127回芥川賞受賞作。表題作「パークライフ」は、地下鉄の中でふと口をついた一言に反応してくれた女性と東京のど真ん中・日比谷公園の偶然再開し、微妙な関係を築いていく恋愛（？）小説。そして「Flower」は不思議な夫婦が東京に上京してきて、そこでまた不思議な同僚との話を描いた作品。
非常にあっさりとしていて特にドラマも何も起こらないけど、そんなもどかしさとかを感じるより、細かなディティールを追求した綺麗な描写とそのスタイルとかが非常に「読ませてくれる」作品の気がしました。
物語の進んでいく「東京」という空気感だったり、そこから出てくる色というのを味あう作品なのかなぁ。東京の今を捉えるライフスタイルというのが一番書きたかったところなのかも知れないなぁと。だからこそ人と人の繋がりもあっさりしている。確かにもう少し何かが起こる匂いというのを感じさせて欲しかったのも確か。でもきっと作者がそういうことを意図して書いていないからそうなるのかなぁと。でも凄いおしゃれな感じがします。何も起こらないけど何も起こらないのもありじゃない？
で短編集としてもう一つ入っているのですが、こっちは結構ペースが変わってとぼけた感じからのラストの凶気だったりと、何か随分コントラストを感じました。何となく男臭くてそれでまた正義感と罪悪感がせめぎ合う内面が最後に出てくる感じで又違う色が出ている作品でした。
「パークライフ」は多分ドラマ性や筋を楽しむような人にはあわないのかも知れない、でも外側から眺める様な現代感覚的な視点、そして感覚を楽しむ作品としては素敵な作品だなぁと思います。
