「悪魔のパス 天使のゴール」

悪魔のパス 天使のゴールセリエAに移籍した夜羽冬次。大きな可能性を持ちながらもチーム状況に憂慮しながらシーズンを戦っていた。しかしその裏では大きな黒い闇が彼に迫っていた。身を案じた友人のライターはその闇を解き明かそうと様々な土地に散らばったそのヒントを掴みに動き回るが・・・・・。

まあ個人的に村上龍の文があんまり好きじゃないから言うわけではないけど、ナンバーっぽい感じ?サッカーの描写はそれなりに楽しめるけど、多分大まかな展開として整理し切れていないのと、選手のポジショニングが見えにくいから非常に混乱させられる感じがしました(頭の中に描くとき)もちろんその描写が緻密と言ったら緻密なのでしょうが。僕はこれなら「龍時」がいい。

ただ話の流れとして冬次のセリエでの奮闘と共に、あまりにその世界に魅力がありするためについてきてしまう。それがドーピング。サッカーに対して各々に思うことがあり、その利権やら思慮が少しずつ広がっていく。そんな状況の中、様々な土地に飛びながらヒントのかけらを集めて段々影が見えてくると言った感じのRPGみたいな展開に。筋に関しては結構何とも言えない・・・・。自慢の漫遊記って感じで。非常に緊迫感のあるシーンでもどうしても何となく。

でも一番問題なのは、結局中田英寿をコピーしたような創造力の貧困さ(メレーニアも結局ペルージャ)いくら違うと言ってもそうとしか見えないし、何か工夫というモノがほしかったかなぁと。中田英寿と親交が厚くてそれにちょっとしたフィクションをくっつけたと言うモノにしか見えません。正直これでいいのかって感じもします。ラストもがっくり。別に良いけどもう少し練ってほしかったかも。「文体とパスの精度」というヒデと村上龍の共著の本を読んだ人ならほとんどなぞってるようにしか見えないかも知れません。残念。(考えてみたら初めての辛い意見?一ヶ月ぶりの更新でこれでは・・・・)

村上龍「悪魔のパス 天使のゴール」幻冬舎 ¥1600