「深紅」

深紅 (講談社文庫)小学生の奏子は修学旅行中。そんなときに家族には非情な出来事が降りかかっていた。一家惨殺事件により癒しがたい傷を奏子は、事件の真相が少しずつほどける中で加害者にも同じ年の年代が娘がいたことを知り、正体を隠して会ったことでまた少しずつ何かが動き出す・・・・。

色々な設定というものがありますが、何よりもこの設定は衝撃的でした。被害者の娘と加害者の娘が出会い、行動を起こし、そして・・・・(ネタバレしますから)二人の傷は奏子・未歩と種類は違うものの派生した素は一緒。その同じにおいが引き合わせる磁石のようなものを感じたりと、何か負の連鎖がここで大きく感じたりと、もうやっぱり凄いなぁと。

正直読み終わった後に不思議な感じがしました。最後が何となく締まらないというかあまりにすっきりと終わってしまったので、えっ?いいのって感じでした。別にいいのですが、文中のあまりに衝撃的な様々な出来事があるのに、こんな最後でいいのかなぁと思っちゃったりしたのですが、もう読んでいる間「何で?」「いいの?」って混乱するぐらいの強烈な一冊でした。

これはネタバレしないで感想は無理です。ただ少年期に受けた大きな傷が凄い悲しい事を引き起こしたりする血の連鎖みたいなものを感じたり、奏子の視点で描かれてるにもかかわらず奏子の心の中がホントに見えなかったりして恐怖も感じたりと非常に楽しめました。

野沢尚「深紅」講談社文庫 ¥695