「少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ」

少年計数機 池袋ウエストゲートパークII (文春文庫)
石田衣良の人気シリーズの第2作。今回は「LD(Learning Disability)」「ネットのぞき部屋」「大人のパーティ」など時代背景に沿った現代病を、主人公である果物屋手伝い兼ストリートファッション誌コラムニスト兼トラブルシューターのマコトが個性溢れる仲間(?)と共に自分達の頭の中で考え苦しみ、そして彼らの価値観の中での解決を見つけるクールな青春小説。

2作目になっても、もちろん話の内容やその爽快感はもちろん、彼の鋭い感性で時代背景やその流行などが織り込まれている事が魅力は変わらない。普通はマンネリ化というかどうしても飽きが出そうなものですが、このシリーズのファンとしては結構一人一人の登場人物に深みと味が出てきて、ますますこの世界に引き込まれる感じがします。

良くこういう小説には勧善懲悪みたいな流れに見られがちな部分がある気がするけど、それがバリエーションに富んでいるのと正義だけが素晴らしいなんて書ききらないところが結構良いのかも知れない。表題作「少年計数機」も悪くないけど、ラストに入ってる「水の中の目」は相当な会心作であり、正直めちゃくちゃお勧め。勧善懲悪とかそういう単純なものでなく、彼らの価値観やその感情、色々なものが重なり合ってのあの結末は非常にイイw映像化はされていないけど、このストーリーを見てみたい気がする、もちろんクドカン・堤コンビで(笑)

石田衣良「少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ」 文春文庫 ¥514