「骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ」

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)石田衣良の人気シリーズ第3作。今回のテーマはかなり掘り下げられたテーマ。「音楽への情熱の方向とホームレス」「弱者と権益の絡み」「NGO地域通貨」「ドラッグとレイブとマイノリティ」と言うかなり濃くてまた取っつきにくいテーマとなりました。それを主人公の果物屋手伝い兼コラムニスト兼トラブルシューターのマコトが相変わらずキャラ設定がきっちりと確立された彼の周りにいる仲間達と共に難問に立ち向かっていく青春小説。

今回は今まで活躍せず、存在の薄かった母親(リツコって名前は付いてません 笑)が活躍したりと続いて読んでる人にはびっくりの設定も詰まっている今作。今まで通りクールで鋭い感覚が沢山物語の中にちりばめられており、もちろんテンポ良く進んでいく物語も相変わらず研ぎ澄まされています。今回のテーマはかなり重くて難しいテーマなんですが(時代と共に複雑・巧妙化する犯罪と同じ 苦笑)そんなテーマも物語を読み進めていく内に何となく骨組みが見えてくるような感じさえあり、なんか情報小説な側面も見えてくる感じです。その中に彼(石田衣良ね)の答えも入っているような感覚があって、そんな作者の爽快感も感じるような作品でした。

今作ではやっぱり「西口ミッドサマー狂乱(レイブ)」がかなり熱い!スケールが凄いでかくて、かなりまたマコトのまたもや淡くて切ない恋もあったりして、かなりクール。これぞIWGPシリーズというらしい、秀作。

はてなのキーワードに「春樹チルドレン」と言うのがあったけど、始めて知りました(笑)確かに似ている部分だなぁと1stシリーズの所で書きましたが、そうなんですね、納得(笑)画像が追いついてないよ、はてな

石田衣良「骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ」 文春文庫 ¥543