GO

GO (講談社文庫)在日朝鮮人でケンカ23戦無敗の高校生、杉原が一人の少女との恋愛を通して、自らの国籍問題や差別に向き合いながら成長していく青春恋愛小説。

非常にナイーブな「在日朝鮮人・韓国人」の問題を杉原という内側からの目線を通して描いた事で何かわかりやすかったりしました。凄い重いテーマだけじゃなくて、杉原の生活を通した現代感溢れる生活などが織り交ぜられていて非常に面白かった。こういうテーマさえも全てノリと勢いで吹っ飛ばすパワーを感じる作品です。そして親父(笑)めちゃくちゃ格好いいし、かわいいし、もの凄い人間味溢れる姿が凄い良かった!もちろん母も含めてかも(笑)

軽妙なテンポと爽やかな書き方、登場人物が個性豊かに表現されている様は、どこか「IWGP」シリーズと重なる感覚を受けました。もちろん映画でクドカン脚本・窪塚出演というのも含めて(笑)

国籍の問題も含めて日本は封建的なんだなぁと改めて思った。もちろん外国人犯罪の増加傾向も鑑みると、センチメンタリズムだけでは解決出来ない非常に重い問題だし、こういう事に関してきっちりとした知識も持っていないのでわからない部分も多いのですが、差別がまた“恨”をもたらして、負の連鎖として繋がる気がしなくもないです。最近サッカーを通してナショナリズムを感じる人も多いけど、アジアカップは多少メディアが過敏すぎたけど、素直な姿とも言える感じがしました。まあだからといって差別をなくしてもやっぱり“恨”はそうそう消えないだろうけど。でもこの言葉、

「No soy Coreano,ni soy jopones yo soy deserraigado.」

心の憶測に、残しておけたらちょっとは変わるんじゃないかと思いました。(訳はネタバレなのでしません。スペイン語わかる人には意味ないけど 笑)

金城一紀「GO」 講談社文庫 ¥448