書評

パレード

マンションの一室を4(5)人の若者がシェアしながら生活していく中で、色々と起こる出来事の中でそれぞれの考え、思惑を描いたミステリ小説。小さなコミュニティの中でも色々と彼らが相手に気遣い本当の自分とは別の自分を繕いながら、生活しているのを描…

熱帯魚

表題作含めた3作の短編集。大工の大輔は子連れの女性と同棲中、そこには引きこもりの弟も一緒。そんな不思議な生活の中、自分が生活を支えていてその善意が彼自身の支えともなっているが、1つの下心と不注意からの事件が全てを変えてしまう。若さ故のエゴ…

「冷たい誘惑」

1つの拳銃をふとしたきっかけで持つ事になった。そんなとき人はどんな思いをし、どんな行動を取るのだろう。「コルト」の魔力に魅せられた人々を描いた連作短編集。最初に購入する時は結構ハードボイルドっぽいものなのかなぁと思ったのですが、1つの拳銃…

「秘密」

正直もの凄い感動しました。本当に最後にほわっとして、じわっと涙が出てくる感じなんです、それはこの小説の中で積み重ねてきた生活が押し出すものがあったからだと思うのです。SFノスタルジック愛情小説(?)平凡な一日の終わりになるはずだった夜勤後の…

「パイロットフィッシュ」

優しい小説。エロ本の編集長山崎の元に19年ぶりの掛かってきたかつての彼女からの電話。そんな折り、1年に1回同じ場所で同じ時間に会う約束の中で、印象的な回想録と現在が進む中で感情の永続性を見せてくれる青春小説水槽の中をきれいに保つために住ま…

「将棋の子」

将棋の天才が集まる奨励界。奨励界の少年達は若き日の情熱の全てを将棋に捧げている。そして厳しい期間制限の中で、人生が掛かる一局のドラマ、そしてその夢が敗れた後を追ったノンフィクション小説。これを書いている大崎善生は、小説家として今はもう有名…

「青の炎」

平穏な家庭の中に、異物が混入してしまった。母の元再婚者。家に居座り、母だけでなく妹にも危害を与えようとしている現状に、警察も法律も元の平穏を取り戻す力にはならず、自らの手でその異物を排除しようとする。明晰な頭脳と青年らしい心理が交錯しなが…

「溺れる魚」

特異な理由で懲戒免職寸前の二人の刑事に罪のもみ消しと引き替えに監察から命じられたミッションは、公安の刑事の内定をだった。芸術の冒涜の報いとして大企業に脅迫をかける犯罪グループ「溺れる魚」。犯人の心理、その人間関係から一気に絡み始める犯罪模…

「きらきらひかる」

笑子と睦月は10日前に結婚した。その夫婦の実態はアル中で精神不安定な翻訳家の妻とホモの医者の夫という不思議な取り合わせだった。二人はすべて許し許容して結婚したのだがはずだったのですが、様々な問題がこの夫婦の中に起こっていく。セックスレスな…

「ナイフ」

いじめという共通のテーマにした5編の短編集。主人公がいじめられている子本人だったり、その父親だったり、幼なじみだったりとその視点からリアルな現実とほのかな希望を描いた現代小説。非常に重いテーマで、それなりにリアリティがあって簡単にパラパラ…

「海を抱く BAD KIDS」

前作「BAD KIDS」の中で端役だったサーファーの光秀と生徒副会長の恵理が織りなすサイドストーリー。不器用な二人が心の中に抱えるものを奥底に隠しながら、一つの出来事から不思議な関係に陥っていく課程の中で、心の中の深い悩みと対峙していく青臭くも瑞…

「BAD KIDS」

年上のプロカメラマンの北崎に振り回されているプロカメラマン志望の写真部部長の都は、被写体としてラグビー部の隆之に狙いをつけた。しかし、その都の撮った写真には隆之の本心でもある親友でもあるチームメイトへの密かな思慕まで映し出してしまった。そ…