「BAD KIDS」
年上のプロカメラマンの北崎に振り回されているプロカメラマン志望の写真部部長の都は、被写体としてラグビー部の隆之に狙いをつけた。しかし、その都の撮った写真には隆之の本心でもある親友でもあるチームメイトへの密かな思慕まで映し出してしまった。そんな始まりで二人が色々な問題に苦しみながらも肩を寄せ合って成長していく青春小説。
まあ非常にもどかしくも青臭い小説なのですが、その中に隠れる優しさが溢れていて、これぞ青春小説なのかも知れません。それぞれがそれぞれに非常に大きな問題を抱えて悩んでその中で自分がどうするのか、自分に正直に向き合う姿というのにほんのりと暖かい気持ちになりました。
このシリーズ通じて、ぼんやりとした性のイメージをきっちりと形取って表現していて、人間にとって大きなテーマであり、それが多様化して一つだけではないと言う事をきっちりと書いてる事に非常に好感を持ちました。それが個性であり、それを排除しない筆者の狙いがよくわかる作品です。
二人でひたむきにそしていたわりあって優しさを持ち寄って進みながら成長していく二人のこの先が気になりながらも、やっぱりこれがベターな終わり方のかなぁと迷ってしまう作品でした。「海を抱く BAD KIDS」とどちらを先に読むかによってまた印象が変わると思うので、またそれも一興。