「ビタミンF」

ビタミンF (新潮文庫)
重松清の「イジメ」「微妙な年代」「離婚」みたいな難しいコンテンツを抱える親に視点を置いた家族小説。ただその中に解決への道を辿る時にある家族愛というものを描く。心がほわっとする短編集。

こういうのを書かせるとやっぱりうますぎ。僕は誰かの親ではないから、実際にこういうのが重なり合ったとかそういう実体験と繋げて読む事は出来ないけど、家族という部分では空想の世界とは言え、暖かい部分に触れたような感じがして、凄い素敵だった。

親には親の難しい部分があると思うと、やっぱり親になるのは簡単な事じゃないなぁと思うし、家族というのはそれぞれの人格が共に暮らしていくという難しさがあり、その中で問題も共に抱えていく事なんだと思う。その痛みと向き合いながら生活する、そして知りたくない事も知って、溝が出来た上でどうするか、リアルで痛いけど、そこからどうするかを暖かみを備えて教えてくれる優しい小説だと思いました。暖まれます。

重松清「ビタミンF」 新潮文庫 ¥514