一瞬の光

一瞬の光 (角川文庫)キャリアも外見も恋人もいて、何も不自由のない主人公・橋田浩介は、ふとしたきっかけで一人の短大生・香折と出逢う。会社内での派閥闘争などで疲弊していく中、徐々に香折とのふれあいの中で、疑問視していた自分の存在意義の中で欠落していた本当の人間としての大切なものを取り戻していく恋愛っぽい小説だけど、それ以上に人間的な気持ちを深く考えさせられる人間模様。

個人的にこの人の文章を読んでいてほんとに色々な事を考えさせられる。自分の中にも浩介のように欠落した大切なものがあるのではないかと考えさせられるし、その大切なものに自分は気づくことができるのかなどなど。浩介の感情(揺れ・不振・恐怖・優しさなど)に対して、共感・反感共にあったのけど、その中で切なくて悲しくてやり切れない感覚がどんどんこの物語に引き込まれた要因かも知れないです。

非常に重たい展開で、ラストまでずーっと同じリズムで進むような展開ですが、本当の愛情というか色々考えさせられる。そしてあのラスト・・・・・・。簡単にまとめたり出来ないのは、僕の文章力のなさなのですが、本当に読了感がもの凄いやり切れないと感じるぐらい・・・・(ダメだ、ネタバレする)

とにかく名作だと思います。それにしても内容が薄い・・・・。

白石一文「一瞬の光」 角川文庫 ¥743