「凍える牙」

凍える牙 (新潮文庫)
個人的に大好きな作品。乃南アサの作品をこの後むさぼるように読むきっかけとなりました。
僕はこういう犯罪ミステリーとかは結構ノリで読むから、文章の中に潜むリズム感というのが、大事になるような気がするんだけど、いきなりのショッキングなスタートから急激なスピード感にどんどん引き込まれる感じで最後は完全にそのシーンを見ているような錯覚に陥ったぐらい。
色々な軋轢やマイノリティ、風習の中での音道と滝沢のコミュニケーションが深まっていく人間ドラマと犯罪の終結に向かう部分が重なり合って、話の中に凄い深みが出ている感じがしました。

乃南アサ「凍える牙」 新潮文庫 ¥705