ワールドユースFinal アルヘンティナ-ナイジェリア

これで当分、真夜中のサッカー観戦もなくなるなぁと思うと、少し寂しいね。まあ身体敵には楽で良いけど。暑さに寝不足は応える。来年死にそうです。

FIFA World Youth Championship Netherland 2005
The Final
Argentina 2-1 Nigeria @ Utrecht
ARG:40'p&75'L.Messi NGA:53'C.Ogbuke

以下雑感更新

  • アルゼンチンがポゼッションを持って、その中で異常に足が伸びてくるカットから個のとんでもないスピードと突破力による局面打開からのカウンターを狙うナイジェリアという感じになるかなと思ったけど、思った以上にアルゼンチンが劣勢。前の人数が足りず、キープレーヤーのメッシもなかなか触れない、そして持ってもサポートも遅く囲まれて奪われる。我慢我慢という感じ。
  • ナイジェリアの右サイドの速縦の突破は本当に迫力満点、3トップ気味で、最初は中に収縮しているところから、瞬発力を活かしてサイドに拡散して突破する形では、なかなかアルゼンチンも捕まえきれず対応しずらい。
  • また縦の展開以外にも、プレスでアルゼンチンの選手に囲まれても、柔らかいテクニックでキープし、前が空いたら強引にでもこじ開ける局面打開で、逆にアルゼンチンを後手に回らせるような展開も生み出したりと、本当に個としては脅威以外の何者でもない。
  • ただ、アルゼンチンは一つの突破は許しても、フィニッシュのコースを開けない、エリアに入れない、コースを切ると言う形でうまく対処。ラインコントロールに関してはかなり難しい局面もあるわけだけど、それでも堂に入っているし、割り切ってしっかりと現実的に守っている感じ。
  • しっかりと現実を捉えて、ロジックとかやりたい事を前に出しすぎず、その時に必要な事というのを考え、判断し、自分たちのやり方を変えれるという意味でも、改めてサッカーネーションの懐の深さを感じる。懐の深さというかサッカーネーションのサッカー脳の高さとも言うべきかも。コンフェデでもまざまざとメヒコに見せられたわけだけど、
  • 確かにナイジェの選手達の個の能力は素晴らしい。単純な部分で考えたら、身体能力と技術両面でアルゼンチンを上回ってるかも知れない。でも最後の部分で雑だったり、自分のプレーに酔ってしまったり、予測したりする能力には長けてない。結局セットから一本フリーになったところでミスとなってしまったシュート以外ペナでは打てていないし、打たされていると言う感じ*1
  • メッシが存在感を見せつける。ナイジェの突破に比べてスピードは掛けるけど、抜群のボールコントロールとテクニックで、相手の状態などを頭に入れながら相手の次の動きを読むセンスで相手が獲れないところにボールを運び、そして突破していく。PK獲得のシーンも突破に行こうと思ったけど、この試合中に何度か止められてる事もあってペナ深くでキープする事に変更した事で、相手が我慢しきれず、ファールを誘った形に。きっちり決めて先制、そして前半終了。

前半としては、本当にナイジェの選手達の能力はうまい。今はアルゼンチンの頭の良さだったり、サッカーを考える能力が何とか上回っている事で止められているけど、正直崩壊寸前なのも事実。もう少しゲームを掌握しないと怖いかも知れない。単純な能力差は、単純な時にふっと出てしまって、一発でやられる可能性がある。後はやっぱりメッシの能力を活かすためにもサポートとフリーランがもう少し欲しい。まあそれでもマークされるだろうけど、メッシとしては使える選手が増える事で、選択肢は増えて、チャンスを広げやすいだろうと思うし。
ナイジェとしては崩すと言うところまでは出来ていて、あとは精度だったり、丁寧なプレーがあればゴールは入るのかなと。でも自分たちの能力に溺れるサッカーだなぁ。守備に関しては、もの凄いアバウトで組織云々はないかな。でもそれだけの能力があるから必要ないのかも知れないけど。しかし単純に怪物集団みたいな感じ。

後半。

  • アルヘンティナ、序盤はうまくボールを前に納めて、メッシを中心に良い形作る。ナイジェの攻撃を考えると人はそんなに裂けないだけに、メッシの能力に頼る事になるけど、この辺は流石。飛び級だけどエース。ナイジェは守備も能力主義。ここまでやり通すとそれはそれでありなのかなと。力を持つ国だけの特権と言うべきか。
  • しかし、そんな事行ってたらナイジェ来た。一発のクロスからだけど、完全にずれちゃった。一回目で上がってたら付けていたのだけど、切り返したところで何かずれた。最後は7番がダイブヘッドで流し込んで同点。
  • ここまではシンプルに仕掛けてきて、強引にこじ開けるような形だったけど、逆にシンプルにサイドを使われて、結局全ての場面で1vs1*2になっちゃったのはアルゼンチンにとってはきつかった。ここまでは何とか複数で対応してただけに、ここだけは出来なかった。
  • ナイジェは良くなってきた。一つの技術からマークを外して突破、スペースに流れて、勝負という感じはきついね。アルゼンチンがこれだと考えると末恐ろしくなる。頭悪いけど。正直こういうサッカーに負けて欲しくない。又日本が変な方向に進んじゃうから。これはブラックアフリカン特有だとわかってくれるといいんだけど、単純でバカだから、すぐに「フィジカル強いやつ出さなきゃ!」てなっちゃうんだよね。必要な要素だとは思うけど、良い部分を消してでも弱点を埋める発想が先に出る国民性。
  • アルゼンチンは交代するけど、リズムを変えられない。中盤でボールが良い形で獲れないし、奪えてもターゲットまで繋がらない。中盤が突破でどうしても崩されちゃうし、そのカバーでオリジナルポジションも崩れちゃうから、繋ぐためのポジショニングは出来ない。まあ背は腹に替えられないとはいえ難しい。でもこんな時に何とかするのがクラックなのかなと言う感じもするけど。メッシはそれが出来る選手だと思う。ただ問題はスタミナかな。
  • アルゼンチンは本当に凄いね。へこたれないし、確実に隙を狙ってる。そしてそれが奇しくも同じ形で活きる。
  • ようやくうまく前にボールが繋がって、右サイドで1vs1の形、交代で入ったアゲイロがまたぎでうまく惑わせると、ナイジェの選手が足を出してしまい、引っかける形となってまたPK。過信かも知れない。獲れる自信あるんだろうけど、アルゼンチンの選手達のテクニックや巧さを甘く見た。こういうところもまたサッカーネーションの強さ。結局又メッシがGKの逆を突いて流し込んできっちり。2-1。
  • ナイジェリアはジャッジで完全に我を忘れて精神的なバランスを崩し、プレーも粗くなる。ステレオタイプなアフリカンという感じ、そこに若さが加わればよりその傾向は強まるのかなと。カード乱発。
  • ナイジェは派手にうまいけど、アルゼンチンは地味に、そして細かくうまい*3。デコイランとダイレクトでうまく相手を散らして、フリーマンを作り、最後はスルーパスからアゲイロがGKと1vs1、GKは投げ出すようにコースを消してファインセーブ。でもうまかった。
  • ゲーム全体も粗くなる。もうカードを出すしかないジャッジもどうかと思うけど、こういう形でゲームが進んでるから仕方ない。
  • アルゼンチンのゲームの進め方は大人、この辺もアルゼンチンという国のサッカーの巧さなのかも知れない。ダーティで相手を逆なでするようなチャージとかはナイジェの精神的バランスを崩していたのかも。ヤヒーの言う通りしたたかだと思うし、考え方も成熟している。
  • メッシの才能は本当に底知らず。突破も出来るし、敵味方の位置を把握して良いチカラ加減で決定的チャンスを演出する。勿論フィニッシュに絡むためのスペース察知能力も素晴らしい。動きながらこういう事が出来るのは本当に凄い*4このチームはメッシがいなきゃ、このナイジェには対抗出来ないけど、この底なしのこのクラックがいる事でアルゼンチンはこの大会で勝ち抜いてこれたのかなという感じ。個人的なインパクトとしてはセンセーショナルだった"コネホ"サビオラより上かも知れない*5。単純な技術やプレーのスケールはサビオラテベスの方が上だと思うけど、まだ若い*6という事もあるんだけど、何よりもサッカーセンスと周囲を把握する能力は本当に素晴らしい。何試合も長い時間見たのは初めてだったけど、ずば抜けてる。
  • ナイジェはより雑になって来ちゃった。まあ時間も段々なくなる中で、焦るなと言うのも難しいけど、攻撃構築に狙いがなくて力押しになっている。まあ時間も少ないからパワープレーでも良いけど、そういう感じではない。あくまで突破、そこから相手を後手に持ち込んでフリーを作りたい。
  • と言う事で2-1でアルゼンチンWY5回目の優勝*7、アルゼンチンの懐の深さとしたたかさが大きな差となったかなと。

正直同点になった時はナイジェリアいくかな?と思ったけど、最初からあったプレーの精度の悪さと粗さ、そしてプレー面だけじゃなくて、精神的な部分にも出てしまった。確かに技術面ではブラジルやスペインを凌ぐモノがあったと思う、勿論アルゼンチンと比較しても。でも、それが結果に繋がらなかった要素としてはやはりそういう部分だったのかなと。スピードに乗ったままやろうしてしまったり*8
アルゼンチンは書いた通り、メッシというこの世代におけるスーパーエースを最大限に生かして*9世界一になってしまった。本当にマラドーナのような獅子奮迅と言う感じ。ただチーム全体が成熟して、きっちりとサッカーを捉えられる能力を持っていたという事も忘れちゃいけないところ。何とか凌いで、踏ん張って、メッシの煌めきに賭ける*10

まあこの選手達が将来的にどのようになるのかは楽しみ。特にナイジェの選手達。ヨーロッパに出て、戦術的に洗練され、頭の部分で成長したりしたら面白そう*11。メッシはバルサで大事に育ててもらうのだろうけど、他のチームで1シーズン見てみたいかな。試合の経験を積む事でより凄くなりそうだし。特にセリエとかで、より制約のきつい中でやったら面白そう。

とにかく良い試合だった。スピードやフィジカル等の単純な能力に対してのアンチテーゼとなるようなゲームで、個人的には嬉しい。こういう試合をしっかりと把握して日本にもフィードバックして欲しいなと。こう言うのが積み重なれば、ロジックの奴隷となることなく巧く状況を把握しながら柔軟にプレーしていく能力が備わっていくのかなという感じがする。コンフェデ含めてこの2005年の国際大会において、僕が見えたモノでした。ということでおしまい。長ぇ、てゆうか向こうに乗せても良いようなまじめな内容でしたとさ。もう直すのめんどくさいからこのままはてなにのっける。

*1:それでも枠に飛ばしたり、細かいパスで突破していける力強さは異常。もう単純に能力差としか言いようがない

*2:マーキングの部分含めて

*3:巧いって漢字がぴったり

*4:安直な言い方だけど、凄いとしか言いようがない。感じとしてはアイマールテベスを掛け合わせたような選手だなぁと感じた。

*5:あのときは周りにも素晴らしい才能があったからね、ダレッサンドロロマニョーリは本当に美しかったよ。

*6:いや、みんな若いんだけどさ。

*7:自国開催の4年前の大会以来

*8:これは日本の選手にも言える事らしい、玉ちゃんとかは典型。精度を高めるためにはそういうところで少しスピードを落として正確にプレーしなきゃいけないと言われてますし、Jは特にその傾向が強い。日本人の志向も速さを求めているけど、それは間違っているのかも知れない。速さの中で出来たら素晴らしいけど、それは自分たちの技術を超えた範囲となるのかなと。

*9:こういうチーム好きよ、僕。

*10:これは間違ってるかも、他の選手も細かい技術は巧い。迫力には欠けるけど、アルゼンチンらしい選手が多いかなと。

*11:まあ代表に戻ってくると元に戻ってしまうと言う感じは否めないにしても