はてなでゲームレビュー。

と言うことで向こうに転載する予定ですが、とりあえず先に。

結果はともかくとして、ある程度UEFAの思惑通りに、因縁の対決はラフプレーが横行することなくフェアな形でゲームが終わって良かったのかなぁと。とにかくレポート。

UEFA ChampionsLeague 2005 Q.Final 1stLeg
Apr 5/Liverpool 2-1 Juventus @ An Field
Liverpool:10'Hyypia 25'LuisGarcia Juventus:63'Cannavaro

リバポスタメン:GKカーソン、DFフィナン、キャラガー、ヒーピア、トラオレ、MFビスチャン、ジェラード、ルイス・ガルシア、リーセ、FWバロシュ(→66'ヌニェス)、ル・タレック(→73'スミチェル)
ユーヴェスタメン:GKブッフォン、DFザンブロッタテュラムカンナバーロ、ゼビナ(→81'モンテーロ)、MFブラージ(→46'ペソット)、エメルソン、カモラネージネドベド、FWイブラヒモビッチデル・ピエーロ(→61'トレゼゲ

リバポはデュデクの不調もあり、若手のスコット・カーソンをスタメンに、キューウェルとハマンが怪我で出場不能、ベンチ入りするかと思われたシャビ・アロンソもいなかったわけですが、アンフィールドの積極的なサポートの元、キックオフから積極的に前に出る姿勢を見せ、そんなリバポに面を喰らったのかエメルソンが足を滑らせてしまい、いきなりシュートピンチを迎える。後々考えたらこのプレーが「プレミアなリズム」で進んでしまった原因だったのかも。リバポはボールを獲ったらどんどん前に出て、ルイス・ガルシアが自由に動いて前線まで顔を出し、FWのル・タレックやバロシュも逃げたり飛びだしたりとユーヴェのDFがなかなか捕まえきれない。ユーヴェとしては何とか型を揃えて迎え撃ちたいのだが、それを許さないスピードと勢い、本当にルーズなディフェンスに終始してしまった。そんな中特に恐慌状態だったのがテュラム。あれだけの経験を持ったテュラムがああなってしまったのは残念だが、気負いすぎのアプローチは完全に空転し、1vs1の対応も甘く軽率で、後ろにスペースを空けてはそこを突かれるというDFのバランスを崩す存在となってしまった。DFでドタバタする事は攻撃陣にも伝染したのか、コンビネーションミスが連発。パスのアングルがずれてインターセプトを喰らったりと、攻撃らしい形がなかなか作れない。ここまでドタバタさせてしまうリバプールの伝統にはまってしまった。
そして10分、失点はセットプレーから。身長の差を心配していたのですが、そのような単純な形ではありませんでした。ジェラードの鋭いキックがニアに切れ込んだルイス・ガルシアのバックヘッドを経由し、大外でフリーとなったヒーピアがボレーで叩いてブッフォンを抜き、あっさりと先制点を献上。プレミアなリズムにはまったユーヴェは対抗するような状況ではありませんでした。少しずつ落ち着きは取り戻し始めたモノの、それでも中盤のマーキング含めて捕まえきれずに走り込まれてしまい、勢いをまともに受けてしまうDF陣にはその安定は見込めない。基本的な問題として縦の関係で引き気味のル・タレックを誰が見るのか、自由にポジションを変えどんどん飛び込んでくるルイス・ガルシアを誰が見るのかという部分でほとんど整理された部分がなく、本当にバイタルエリアでのDFが全く機能しない状態。ブラージにしてもエメルソンにしても人を掴める所か、どこを見て良いのかわからない状態。これでは安定したユーヴェのリズムに持ち込むことが出来なかったのも道理か。そして25分、左サイドを起点に作られるとバイタルに走り込んできたルイス・ガルシアがダイレクトでビューティフルなボレーを叩き込まれてしまう。ここもアプローチが甘いにしてもどうにもならないゴールでした。さて、これでようやく目が覚めたのかユーヴェも少しずつ攻撃のリズムは掴め始めます。ズラタンのダイレクトポストからネドベドが飛び込むような形が出来はじめ、良い形も出来はじめます。しかし、ズラタンがペナ付近で受けて反転して狙ったシュートは枠に嫌われ、そのリフレクションを詰めたネドベドのシュートも枠には飛ばない。その後にはネドベドデル・ピエーロの綺麗なパス交換からDFラインを突破し、デル・ピエーロが得意なエリアから1vs1のシーンを迎えるが、カーソンのファインセーブに阻まれ、ゴールが遠い。右サイドからのロングフィードに反応したデル・ピエーロのヘッドはゴールに吸い込まれるが、微妙な判定ながらオフサイドを獲られ、結局2-0のまま折り返すことになった。
後半、カペッロはジェラードを見ていながら全く効いていなかったブラージを諦めてペソットを中盤に入れて活性化を促す。リバポもペースが落ちて、ラインがずるずる下がり始めて前後が分断し、前半のようなフレキシブルな形が出てこない。ザンブロッタも前半に比べてある程度上がれるようになり、CKの流れからそのザンブロッタのクロスをファーでカンナバーロがどんぴしゃのヘッド、カーソンは触れるモノの今回ははじき出すことが出来ずそのままゴールに吸い込まれ貴重な貴重なアウェイゴールがユーヴェに転がり込んだ。この後も選手交代しながら、ゴールには迫るモノのトレゼゲは決定機に顔を出すことは出来ず、今日の出来は褒められたモノではなく、ゼビナが怪我をして切り札サラジェタも投入出来ないこともあって、同点ゴールまでは結びつかなかった。結局2-1でリバポがホームで最低限の結果を得た。

まあこのゲームの鍵は「プレミア」のチームと「セリエ」のチームが対戦するときに、良くあるリズムの奪い合いでした。個人的に頭にあったのは決勝トーナメント1回戦のマンU-ミランの試合。ミランマンUが持つ「プレミア」のリズムを出させず、自分たちのペースでゲームをコントロールして「セリエ」のリズムでゲームを進めた。マンUも色々と何とかしようとしていたモノの、ミランのリズムの中で手の内で転がされるようだった。そういうゲームをユーヴェが出来ていたら、もう少しどうにかなったのかなぁと思いましたが、エメルソンの足を取られたようなプレーによってリバポの勢いに飲まれて、ゲームのリズムはものすごい速いトランジッションを伴う「プレミア」なリズムになってしまった。そのリズムには不慣れなユーヴェはなかなかそのリズムに身を合わせることが出来ずに、ミスが多発。そしてDF陣は完全に落ち着きをなくして、スペースを消すような守り方が出来ずに、組織としてうまく守れなかった。逆にリバプールはそういうリズムになれているし、その勢いこそ自分たちの最強のストロングポイントでもあるわけで、良い形での攻撃が出来ていたことを考えたら、序盤の勢いがチームにリズムを持ってきて主導権を持ってユーヴェを「プレミア」のリズムに引き込んだというのが非常に大きかったのかなと。

ただこのゲームは落としたモノの最高の負けだったのかなぁと。ユーヴェとしては非常に大きなアウェイゴールが転がり込んできた。はっきり言って後半は抜きにしても、こういうゲームで前半にリズムを明け渡して、イイゲームとは言えなかったけど、トリノに戻り、イタリアの空気で自分たちのゲームが出来れば「1-0」はお手の物だと思う。後半はああいう流れの中でもユーヴェ自体はある程度うまく回っていたし、後はフィニッシャーであるトレゼゲの調子が戻れば希望は繋がるのかなと。アレックスに関しては最近ビッグゲームで結果が残らないのが辛いところだが、非常に良い動きはあったし後はその回数と決定力。この試合に関してはトレゼゲよりもイイ動きは出来ていただけに、次こそ!ですね。カペッロはDFの整備に関してどう考えるのかが非常に気になるところです。
リバポにとってはまあ悪い結果ではないですが、ただこのチームが失点を抑えてゲームを殺すと言うこと自体は余り期待出来ないだけに、今日のようにユーヴェを自分たちのペースに引き込んで前に出ることが求められるのかも知れませんね。シャビ・アロンソキューウェルなど負傷者が戻ってきて、ジェラードの質の高いロングパスをより活かせるような形が出来れば、トリノでも期待は持てると思うが・・・・。ただ、次戦はもっと激しくなると思うだけに非常に楽しみ。